カテゴリー別アーカイブ: Magazine

写真集『狼煙』ーNOROSHIー

ウェブサイト「みちとおと・熊野古道中辺路」の運営を始めてから4年がたちました。
その流れから今年、道音舎という名の出版レーベルを立ち上げました。
道音舎から出版する最初の本は、和歌山県在住の写真家・照井壮平氏の写真集です。
タイトルは「狼煙」。のろし、と読みます。

リンク先の特設ページで、写真の一部を文章とともに順次公開していきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

「狼煙」のページはこちらです。

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奥吉野の鬼の里

「私が子どもの頃はね、ここが世界中でいちばんの山奥やと思ってました」

しみじみ話してくれたのは、奈良県の天川村、洞川(どろがわ)温泉で500年続くという旅館の大将。

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夏の初めに洞川村まで行ったのは、雑誌の特集「暑さを忘れる名水の里」に掲載する記事を書くためだった。私が担当したのは奥吉野の”ごろごろ水”だ。

自称・山村ライターとしては、こういうところに飛ばされるのがたいへん嬉しい。
見よ、この景観。しかもここは、そんじょそこらの山村ではない。

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大峯山は1300年前、役行者によって開かれたと伝わる霊峰で、今も山伏姿の修験者たちが訪れる山岳信仰の登山基地。修験者をもてなしてきた洞川の人々は、役行者に仕えていた鬼の子孫であるという。「ここが世界中で一番の山奥やと思ってた」と話してくれた宿の大将も、鬼の末裔の一人というわけだ。
集落の標高は約850メートル。ここから紀伊山地の峰々を越えて、熊野に至る険しい山道が”大峯奥駆け道”である。

大峯山への登山口には女人結界門があり、女性の入山を今も禁じている。”女人結界”と刻まれた門の文字が仰々しい。「男たちよ、そんなに力むな」とちょっと思う。

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静岡から来たという尼僧たちが、結界門の前で熱心に法華経を唱えておられた。心地よく渋い声が森に響く。周囲が自然林なら、なお良かったのだけれど。

翌日、ごろごろ水が川となって流れ込む渓谷を散策した。山岳信仰を生んだ古代人の宇宙観には、水が深く関わっているというが、そういうことも山中を歩きながら考えるほうがわかりやすい。

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今回の完成誌はこちらです。↓
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